相続税ってかかるの？いくらから？知っておきたい基礎と最初の一歩
相続税の「もしかしたら」という不安を和らげるために
ご家族を亡くされた後、様々な手続きに追われる中で、「もしかして相続税がかかるのでは？」という不安をお持ちになる方がいらっしゃいます。税金の話と聞くと、なんだか難しそう、自分には関係ない話かもしれないけれど、もしものことがあったらどうしよう、と心配になりますよね。
ここでは、相続税がどのような場合に発生するのか、そして「あなたの財産に相続税がかかるのかどうか」を考えるための、ごく基本的な知識を分かりやすくご説明します。そして、もし税金がかかる可能性がある場合に、「まず何をすれば良いのか」という最初の一歩もお伝えします。
どうぞご安心ください。相続税は、相続する全ての財産にかかるものではありませんし、多くの場合は税金がかからないこともあります。一つずつ、落ち着いて確認していきましょう。
相続税は「基礎控除」を超える財産にかかります
相続税という税金は、亡くなった方から引き継いだ財産の合計額が、ある一定の金額（これを「基礎控除額」といいます）を超える場合に発生します。つまり、財産の合計額がこの基礎控除額以下であれば、相続税はかからない、ということです。
この基礎控除額があるため、「相続が発生したらいつでも必ず相続税がかかる」というわけではありません。多くの場合、この基礎控除額の範囲内に収まるため、相続税はかからないという状況になります。
相続税がかかるかどうかを決める「基礎控除額」を知りましょう
では、その「基礎控除額」はどのように計算されるのでしょうか？ 基礎控除額は、以下の計算式で求めることができます。
基礎控除額 = 3,000万円 ＋ 600万円 × 法定相続人の数
ここでいう「法定相続人」とは、民法という法律で定められた、亡くなった方の財産を相続する権利がある人のことです。（法定相続人について詳しく知りたい場合は、別の記事「亡くなった方の財産、誰が相続する？法定相続人の仕組みと順番をやさしく解説」もご覧ください。）
例えば、法定相続人が配偶者とお子さん2人の合計3人の場合、基礎控除額は
3,000万円 ＋ 600万円 × 3人 = 3,000万円 ＋ 1,800万円 = 4,800万円
となります。
この例では、亡くなった方が残された財産の合計額が4,800万円以下であれば、相続税はかかりません。4,800万円を超える場合に、その超えた部分に対して相続税がかかる可能性があります。
まず何をすれば良い？ 相続税の心配を減らすための最初の一歩
「自分の場合に相続税がかかるのかどうか、どうやって判断すればいいの？」とお感じになったかもしれませんね。最初の一歩として、以下のことを考えてみましょう。
-
法定相続人は誰か、何人いるかを確認しましょう まず、亡くなった方の法定相続人が誰なのか、そして何人いらっしゃるのかを確認します。これにより、ご自身のケースでの基礎控除額が計算できます。 これは、亡くなった方との関係（配偶者なのか、お子さんなのか、ご両親なのかなど）や、ご家族構成によって決まります。戸籍謄本などを確認することが必要になる場合があります。
-
亡くなった方の財産を大まかに把握しましょう 次に、亡くなった方がどのような財産をどれくらい残されたのかを、大まかで良いので把握してみましょう。 預貯金はいくらくらいか、不動産（ご自宅や土地など）はあるのか、株式や投資信託などはあるのか、借金などのマイナスの財産はあるのか、などを思いつく範囲で書き出してみるのも良い方法です。（財産リストの作り方については、別の記事「亡くなった方の財産、どうすればわかる？相続で大切な「財産リスト」の作り方」もご参照ください。）
この「法定相続人の数」と「財産の合計額」が分かれば、ご自身のケースの基礎控除額と財産の合計額を比べてみて、「相続税がかかる可能性がありそうか、なさそうか」という大まかな目安をつけることができます。
もし相続税がかかりそうなら、どうすれば良い？
もし、ご自身のケースで、財産の合計額が基礎控除額を大きく超えそうだと感じた場合は、相続税の申告や納税が必要になる可能性があります。
相続税の計算は、財産の種類を評価したり、特例が使えるかどうかを判断したりと、少し複雑な知識が必要になる場合があります。また、相続税には申告と納税の期限が決められています。
もし、相続税がかかる可能性があると感じたら、ご自身だけで抱え込まず、専門家にご相談することを検討してみましょう。相続税を専門とする税理士に相談することで、正確な税額を計算してもらい、申告の手続きを進めることができます。
税理士に相談する前に、まずは市役所の相談窓口や、お近くの税務署に問い合わせてみるのも良いかもしれません。相談できる場所があることを知っておくだけでも、安心につながるはずです。
まとめ
相続税について、「かかるの？」「いくらから？」という疑問や不安は、多くの方がお持ちになるものです。まずは、ご自身のケースでの基礎控除額がいくらになるのかを知り、亡くなった方の財産を大まかに把握することから始めてみましょう。
財産の合計額が基礎控除額以下であれば、相続税はかかりませんので、ご安心ください。
もし、財産の合計額が基礎控除額を超える可能性があると感じた場合でも、ご自身だけで悩む必要はありません。相続税に関する専門家である税理士や、税務署などの相談窓口を活用することで、一つずつ手続きを進めていくことができます。
大切なのは、不安を抱え込まず、信頼できる情報に基づいて、最初の一歩を踏み出すことです。この情報が、あなたの不安を少しでも和らげ、前に進むためのお手伝いになれば幸いです。