相続が発生したらまず役所へ。届け出と手続きの最初の一歩をやさしく解説
相続が発生し、大切な方がお亡くなりになった後、悲しみの中で様々な手続きに直面することになります。 何から手をつけて良いか分からず、大きな不安を感じる方もいらっしゃるかもしれません。
特に、公的な手続きや書類の準備は、慣れていないと難しく感じるものです。 しかし、焦る必要はありません。一つずつ、落ち着いて進めていけば大丈夫です。
このページでは、相続手続きの「最初の一歩」として、多くの方がまず行うことになる「役所での手続き」について、分かりやすくご説明します。
なぜ相続手続きで「役所」に行く必要があるのですか?
相続手続きを進めるためには、いくつかの大切な「証明書」が必要になります。 これらの証明書は、主に市役所や区役所、役場などで発行してもらいます。
例えば、
- 亡くなった方が生まれたときから亡くなるまでのすべての戸籍謄本
- 相続する方が誰なのかを示す戸籍謄本
- 亡くなった方の住民票の除票(最後に住んでいた場所を証明する書類)
などです。
これらの書類は、銀行預金の名義変更や引き出し、不動産の名義変更(相続登記)、相続税の申告など、その後の様々な手続きで必ず必要になります。 そのため、まずはこれらの必要書類を役所で集めることから始めるのが、相続手続きの最初の大切な一歩となるのです。
役所での手続き、最初の一歩はどうすれば良いですか?
では、具体的にどうすれば良いか、最初の一歩となる流れを見てみましょう。
ステップ1:まずは市役所・区役所の窓口へ
お住まいの市役所、区役所、または亡くなった方の本籍地や最後に住んでいた場所の役所の窓口に行ってみましょう。 どの課に行けば良いか分からない場合は、総合受付などで「相続の手続きで必要な書類について知りたい」と尋ねてみてください。通常は戸籍課や市民課といった部署が担当しています。
ステップ2:必要な書類について相談する
窓口の担当の方に、相続手続きのために必要な戸籍謄本などを集めたい旨を伝えます。 すると、どのような書類が必要か、どのように請求すれば良いかなどを教えてもらえるはずです。
ご自身にとって具体的にどのような戸籍が必要になるかは、亡くなった方の状況や相続人の構成によって少し異なります。迷う場合は、担当の方に事情を話して相談してみましょう。
ステップ3:窓口で請求書を記入する
必要な書類が分かったら、「交付請求書」という書類に記入します。 請求書には、自分の名前や住所、亡くなった方のお名前、本籍地などを記入します。
請求時には、窓口に来た方が本人であることを証明するための書類が必要です。運転免許証やマイナンバーカード、健康保険証などを持参しましょう。
また、手数料がかかりますので、小銭なども用意しておくと良いでしょう。戸籍謄本は1通450円など、書類の種類によって金額が決まっています。
ステップ4:書類を受け取る
請求書と本人確認書類、手数料を提出すると、書類が発行されます。 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍は、複数にわたる場合があります。一度にすべて揃わないこともありますので、その場で担当の方に確認しながら進めましょう。
※役所に行くのが難しい場合は、郵送で書類を請求することも可能です。ただし、最初は窓口で直接相談しながら進める方が、疑問点をその場で解消できるので安心かもしれません。
役所で集めた書類が、その後の手続きに繋がります
役所で無事に必要書類を受け取ることができたら、これで最初の大切な一歩を踏み出したことになります。 これらの書類をもとに、誰が相続人であるかが正式に証明され、亡くなった方の財産について、その後の具体的な手続きを進めることができるようになります。
- 銀行での預金引き出しや名義変更
- 法務局での不動産の名義変更(相続登記)
- 税務署での相続税の申告
といった手続きの際に、役所で取得した戸籍謄本や住民票などが必ず必要になります。
分からないことは遠慮なく尋ねましょう
役所の手続きや必要書類について、分からない点が出てくるのは自然なことです。 「こんなこと聞いても良いのかな?」と遠慮せず、役所の担当の方に丁寧に質問してみてください。担当の方は、手続きの専門家です。分かりやすく教えてくれるはずです。
また、相続の手続き全体について不安がある場合は、地域の役所にある高齢者向けの相談窓口(地域包括支援センターなど)や、必要に応じて弁護士、税理士、司法書士といった専門家への相談も検討してみましょう。
まとめ:最初の一歩は、決して一人ではありません
相続が発生した後の役所での手続きは、多くの手続きの出発点となります。 必要書類を集めることは、その後の手続きをスムーズに進めるために非常に大切です。
たとえ手続きの経験がなくても、難しく感じる専門用語が多くても、心配いりません。 役所の窓口で質問したり、専門家や相談できる場所を頼ったりしながら、一つずつ確実に進めていきましょう。
この最初の一歩が、その後の手続きを進めるための確かな土台となります。焦らず、ご自身のペースで取り組んでみてください。