生前贈与と相続の基礎知識

生前贈与ってどうやって渡すの?方法と始めるための一歩をやさしく解説

Tags: 生前贈与, 贈与方法, 手続き, 相続準備, 最初の一歩

生前贈与に関心があるけれど、「どうやって渡せばいいの?」「どんな手続きが必要なの?」と疑問に思っていませんか。

生前贈与は、ご自身の財産を、生前に大切なご家族などに引き継ぐための方法の一つです。贈与税について解説した記事もございますが、ここでは「具体的な渡し方」や「始めるための最初の一歩」に焦点を当てて、分かりやすくご説明します。

一人で難しく考えすぎず、一つずつ一緒に確認していきましょう。

生前贈与、どんな方法があるの?

生前贈与の方法は、贈与したい「もの」によっていくつかのやり方があります。ここでは、よくあるケースについてご紹介します。

1. 現金や預貯金を贈与する

一番身近に感じられるのが、現金や預貯金を贈与する方法かもしれません。

現金をそのまま渡すことも物理的には可能ですが、これはあまりおすすめできません。なぜなら、「いつ、誰から誰へ、いくら渡されたか」という記録が残りにくいためです。後で税金のことなどで確認が必要になった際に、証明が難しくなることがあります。

現金の贈与であれば、贈与したい方の銀行口座へ振り込む方法がおすすめです。銀行の記録として残りますので、「いつ、誰から誰へ、いくら贈与したか」が明確になり、証明しやすくなります。

ご自身の預貯金口座から、贈与したい方の名義の口座へ移す、あるいは、今あるご自身の口座の名義を贈与したい方に変える、といった方法も考えられます。

ただし、ご自身の口座の名義を書き換えるだけでは、贈与したことにならないと判断されてしまう場合もあります。「名義預金」と呼ばれ、名義は家族の名前だけれど、印鑑や通帳の管理はご自身が行っている、といったケースです。

贈与は、「贈与する方が『あげます』という意思表示をし、贈与される方が『もらいます』と承諾すること」で成立します。預貯金の贈与の場合も、お互いの意思確認をした上で、贈与する方から贈与される方の口座へお金を移動させるなど、きちんと手続きを行うことが大切です。

2. 不動産(家や土地)を贈与する

お持ちの家や土地を贈与することもできます。ただし、現金や預貯金と比べて手続きは複雑になります。

不動産を贈与する場合、「法務局」という国の機関で「名義変更(所有権移転登記)」の手続きが必要です。この手続きには、専門的な知識が必要になることが多く、司法書士という専門家に依頼するのが一般的です。

また、不動産の価値によっては贈与税が高額になることもありますので、事前に税理士などの専門家に相談して税金のことを確認することも大切です。

3. 証券や株を贈与する

お持ちの証券や株を贈与したい場合は、それらを預けている証券会社などの金融機関で手続きを行います。金融機関によって手続きが異なりますので、まずはご利用の金融機関の窓口に相談してみましょう。

生前贈与を始めるための最初の一歩

「よし、生前贈与をしてみようかな」と思ったら、まず何から始めれば良いのでしょうか。難しく考えず、まずは以下のステップを一つずつ試してみてください。

ステップ1:誰に、何を、いつ贈与したいか、考えてみる

まずは、具体的に「誰に」「どんな財産(現金、家など)を」「いつ頃」贈与したいか、漠然とでも構いませんので考えてみましょう。この段階で完璧に決めなくても大丈夫です。

ステップ2:贈与したい方と、お互いの気持ちを確認してみる

一方的に贈与するのではなく、贈与したいと考えているお子さんやお孫さんと、一度話し合ってみることをおすすめします。本当に受け取ってほしいか、受け取る側にも何か考えがあるかなど、お互いの気持ちを確認することは、後々の misunderstanding を防ぐためにも大切です。

ステップ3:具体的な方法と金額(あるいは財産)を決める

話し合いを通して、具体的に「何を」「どの方法で」贈与するかを決めていきます。現金なら金額、不動産なら対象となる物件などです。

ステップ4:記録に残す方法を考える、あるいは相談する

贈与した事実を後で証明できるように、記録を残す方法を考えます。銀行振り込みならその記録、まとまった金額や不動産などの場合は「贈与契約書」という書類を作成することもあります。

「贈与契約書ってどうやって作ればいいの?」と難しく感じる場合は、この時点で専門家(弁護士や司法書士など)に相談してみるのも良いでしょう。

ステップ5:必要に応じて専門家や金融機関に相談する

生前贈与には、贈与税がかかる場合もあります。また、手続きが複雑なケースもあります。

「税金が心配」「手続きが難しそう」「この方法で大丈夫?」といった不安がある場合は、一人で悩まずに専門家(税理士、弁護士、司法書士など)や、お付き合いのある金融機関の窓口に相談してみましょう。市役所や地域包括支援センターで、相談窓口を紹介してくれる場合もあります。

専門家は、あなたの状況に合わせて、適切な方法や手続き、かかる可能性のある税金について分かりやすく教えてくれます。

一人で抱え込まず、まずは考えて、相談してみましょう

生前贈与と聞くと、難しく感じてしまうかもしれません。しかし、ご紹介したように、現金や預貯金の振り込みなど、比較的取り組みやすい方法もあります。

大切なのは、一人で全てを解決しようと抱え込まないことです。「誰に何をあげたいかな」と考えることから始めて、必要に応じて贈与したい方と話し合い、不安なことや分からないことがあれば専門家や相談できる窓口に頼ることです。

一つずつ、確認しながら進めていけば大丈夫です。この記事が、生前贈与を考える最初の一歩になれば幸いです。