亡くなった方の生命保険金、どう受け取る?手続きと最初の一歩をやさしく解説
亡くなった方の生命保険金、どう受け取る?手続きと最初の一歩をやさしく解説
大切な方を亡くされたばかりで、さまざまな手続きに追われていることと思います。 その中で、「亡くなった方が入っていた生命保険の手続きはどうすればいいのだろうか」と、戸惑われている方もいらっしゃるかもしれません。
生命保険金は、残されたご家族にとって、今後の生活を支える大切な財産となることがあります。しかし、「どこに連絡すればいいのか」「どんな書類が必要なのか」など、分からないことだらけで不安に感じるのは、決して特別なことではありません。
このページでは、亡くなった方の生命保険金を受け取るために、まず知っておきたいことと、最初の一歩となる具体的な手続きについて、分かりやすくご説明します。
生命保険金は「相続財産」とは少し違う?知っておきたい基礎知識
まず知っておきたいのは、亡くなった方が受け取るはずだった年金などと同じように、生命保険金は「相続財産」とは少し違う扱いになる場合があるということです。
- 受取人が決まっている場合: 生命保険の契約では、あらかじめ「保険金を受け取る人(受取人)」が指定されています。この受取人が保険金を受け取る権利は、亡くなった方の財産を相続する権利とは別のものです。そのため、例えば相続を放棄した場合でも、生命保険金の受取人に指定されていれば、保険金を受け取ることができます。
- 「みなし相続財産」になることも: ただし、生命保険金は、相続税の計算上は「みなし相続財産」として扱われ、相続税がかかる場合があります。
- 税金がかからない枠がある: 生命保険金には、「非課税枠」という、税金がかからない特別な枠が設けられています。これは、「500万円 × 法定相続人の数」で計算されます。例えば、法定相続人が3人いれば、500万円 × 3人 = 1500万円までは税金がかからないことになります。この非課税枠は、生命保険金を受け取った人が、相続人である場合に使うことができます。
こうした決まりがあるため、生命保険金は、通常の相続財産(預貯金や不動産など)とは少し異なる考え方が必要になるのです。
まず何をすればいい?生命保険金の手続き 最初の一歩
では、生命保険金を受け取るためには、具体的に何をすれば良いのでしょうか。最初の一歩は、以下の通りです。
ステップ1:加入している保険会社を確認する
まず、亡くなった方がどの生命保険会社に加入していたかを確認します。
- 保険証券を探す: 保険会社名や契約内容が書かれた「保険証券」を探してみましょう。大切な書類としてまとめて保管されていることが多いです。
- 通帳や郵便物を確認する: 保険料の引き落としがされていた銀行の通帳や、保険会社からの郵便物なども手がかりになります。
- それでも見つからない場合: もし手がかりが見つからない場合は、「生命保険契約照会制度」を利用する方法もあります。これは、一般社団法人生命保険協会が実施している制度で、加盟している生命保険会社全体に対して、亡くなった方が契約していた生命保険がないか照会することができます。ただし、利用できる条件がありますので、詳しくは生命保険協会のウェブサイトを確認するか、電話で問い合わせてみてください。
ステップ2:保険会社に連絡する
加入している保険会社が分かったら、その保険会社の窓口やお客様相談センターに連絡します。
- 連絡時に伝えること: 連絡する際は、以下の情報を伝えられるようにしておくとスムーズです。
- 亡くなった方の氏名、生年月日
- 亡くなった日
- 保険契約の内容(保険証券番号などが分かると良いですが、分からなくても大丈夫です)
- 連絡している方の氏名、亡くなった方との関係
- その後の案内を聞く: 連絡すると、保険金の請求に必要な書類や、その後の手続きの流れについて案内があります。分からないことは、遠慮せずに何度でも質問しましょう。保険会社の担当者が、丁寧に対応してくれます。
保険金の請求に必要な主な書類
保険会社に連絡すると、「保険金請求書」や、保険金を受け取るために必要な書類の一覧が送られてきます。一般的に必要となることが多い主な書類は以下の通りですが、保険会社や契約内容によって異なる場合がありますので、必ず保険会社からの案内に従って準備してください。
- 保険金請求書: 保険会社から送られてくる、保険金を請求するための書類です。必要事項を記入します。
- 保険証券: 契約内容が記載された大切な書類です。
- 亡くなった方の死亡診断書(または死体検案書)の写し: 病院などで発行される、亡くなったことを証明する書類です。
- 受取人の本人確認書類: 運転免許証やマイナンバーカードなどの写しです。
- 受取人の印鑑証明書: 発行から3ヶ月以内など、有効期限がある場合があります。
- 亡くなった方と受取人の関係を証明する書類: 戸籍謄本や住民票などが必要です。通常、保険会社が指定する期間(例えば、亡くなった方の出生から死亡まですべての戸籍謄本)のものが必要になります。
- 亡くなった方の住民票の除票: 亡くなったことを証明する書類の一つです。
- 振込先の金融機関口座情報: 保険金が振り込まれる口座の情報です。
これらの書類は、役所などで取得する必要があるものもあります。戸籍謄本などは、本籍地の役所に郵送で請求することも可能ですので、役所のウェブサイトを確認するか、電話で問い合わせてみてください。
手続きは難しくありません。一つずつ確認しましょう
「たくさんの書類が必要で、難しそうだ」と感じるかもしれませんが、心配いりません。 保険会社に連絡すれば、必要な書類リストや手続きの流れについて、担当者が丁寧に教えてくれます。一つずつ確認しながら進めれば、必ず手続きを終えることができます。
もし、書類の集め方や手続きの中で分からないことがあれば、遠慮せずに何度でも保険会社の担当者に質問してください。また、役所でも、戸籍謄本などの取得方法について窓口で尋ねることができます。
生命保険金の手続きには、通常、保険法で定められた請求期間(時効)があります。例えば、保険金を受け取る権利が発生した日から3年などとされています。早めに手続きを進めることをおすすめしますが、慌てずに、確認しながら丁寧に進めることが大切です。
この手続きは、亡くなった方があなたのために残してくださった大切な思いを受け取るためのものです。どうぞ安心して、最初の一歩を踏み出してください。