亡くなった方の年金、どうすればいい?知っておきたい手続きと最初の一歩
はじめに
大切な方を亡くされた後、心身ともに大変な時期に、さまざまな手続きに直面することになります。その中には、年金に関する手続きも含まれています。
「亡くなった人の年金はどうなるのだろう」「私が何か手続きをしないといけないのだろうか」「どこに連絡すればいいのか」など、多くの不安を感じていらっしゃるかもしれません。
年金の手続きは、普段あまり馴染みがないため、難しく感じるのも無理はありません。しかし、一つずつ確認しながら進めれば、決して難しいものではありません。
この記事では、亡くなった方の年金について、知っておきたいことと、まず何をすれば良いのかを、基礎から丁寧にご説明いたします。
亡くなった方の年金の手続きとは?
亡くなった方が年金を受け取っていた場合、大きく分けて二つの手続きが必要になることがあります。
- 年金を受け取ることを止める手続き(受給停止)
- 遺族が年金を受け取るための手続き(遺族年金の請求など)
これらの手続きは、亡くなった方が受け取っていた年金の種類や、残されたご家族の状況によって、必要になるものや、手続きの方法が異なります。
まずは何を確認すれば良いか?
手続きを始める前に、まずは落ち着いて、いくつか確認しておきたいことがあります。
1. 亡くなった方が「年金を受けていたかどうか」を確認する
年金を受けていたかどうかは、以下のものなどで確認できる場合があります。
- 年金証書: 年金を受け取る際に発行される書類です。
- ねんきん定期便: 日本年金機構から毎年誕生月に届く、年金の加入記録などのお知らせです。
- 預貯金通帳: 年金の振込記録が残っていることがあります。
これらの書類が見当たらない場合でも、年金事務所などで確認することができますので、ご安心ください。
2. 誰が手続きを行うかを確認する
年金の手続きは、主に亡くなった方の配偶者や子どもなど、ご家族が行うことになります。
年金受給停止の手続きについて
亡くなった方が年金を受け取っていた場合、そのままにしておくと、亡くなった後も年金が振り込まれてしまうことがあります。これは後で返す必要が出てくるため、速やかに受給を止める手続きが必要です。
この手続きは「年金受給権者死亡届(報告書)」を提出して行います。
誰が? 亡くなった方の遺族などが手続きを行います。
いつまでに? 亡くなった日から10日以内に手続きをすることが定められています(厚生年金・共済年金の場合)。国民年金のみを受けていた場合は14日以内です。
少し慌ただしいかもしれませんが、まずは「亡くなった方の年金を止める手続きがある」ということを覚えておいてください。期限を過ぎてしまっても手続きはできますので、焦らずに進めましょう。
どこに?
- 亡くなった方が国民年金のみを受けていた場合:市区町村役場の国民年金担当窓口
- 亡くなった方が厚生年金や共済年金を受けていた場合:年金事務所、または年金相談センター
何をすれば良い?(最初の一歩)
- 役所や年金事務所に電話で問い合わせてみる
- 「主人が亡くなったので、年金の手続きについて知りたい」と伝えれば、必要な手続きについて教えてもらえます。
- 予約が必要な場合もありますので、事前に確認しておくとスムーズです。
- 「年金受給権者死亡届(報告書)」の用紙を手に入れる
- 年金事務所や市区町村役場の窓口でもらうか、日本年金機構のウェブサイトからダウンロードすることもできます。
- 必要書類を準備する
- 一般的には、亡くなった方の年金証書、死亡診断書または戸籍謄本(死亡の記載があるもの)、手続きをする方の本人確認書類などが必要になります。
- 必要な書類は状況によって異なる場合があるため、事前に窓口に確認することをお勧めします。
遺族年金について
亡くなった方が一家の働き手だった場合、残されたご家族の生活を支えるために「遺族年金」が支給されることがあります。
遺族年金には、国民年金から支給される「遺族基礎年金」と、厚生年金から支給される「遺族厚生年金」があります。
誰が受け取れる可能性がある?
主に、亡くなった方に生計を維持されていた配偶者や子どもが対象となります。ただし、年齢や収入などの条件があります。
請求手続きについて(最初の一歩)
- ご自身が遺族年金を受け取れる対象になるか確認する
- ご自身の年齢や、亡くなった方との関係、亡くなった方の年金の加入状況などによって、対象になるかどうかが変わります。
- 年金事務所や年金相談センターに相談してみる
- 遺族年金は、ご自身の状況によって手続きが複雑になる場合があります。
- まずは年金事務所などに電話や窓口で相談し、「遺族年金を受け取れる可能性があるか」「手続きには何が必要か」などを具体的に聞いてみましょう。
遺族年金の請求には、戸籍謄本や住民票、所得証明書など、さまざまな書類が必要になります。慌てずに、一つずつ準備を進めましょう。
手続きで困ったら、どこに相談すれば良い?
年金に関する手続きは、一人で抱え込まず、専門家や公的な機関に相談することができます。
- 年金事務所、街角の年金相談センター: 日本年金機構の職員が、年金制度や手続きについて無料で相談に乗ってくれます。予約が必要な場合が多いです。
- 市区町村役場の国民年金担当窓口: 国民年金に関する手続きや相談ができます。
- 地域包括支援センター: 高齢者の生活全般に関する相談を受け付けている窓口です。年金手続きについてもアドバイスをもらえる場合があります。
これらの窓口では、難しい言葉を使わずに、丁寧に教えてもらうことができます。安心して相談してみてください。
まとめ
亡くなった方の年金に関する手続きは、最初は戸惑うことが多いかもしれません。しかし、大切な方の年金を止める手続きや、残されたご家族のための遺族年金など、一つずつ確認しながら進めることができます。
まずは、亡くなった方が年金を受けていたかを確認し、お近くの役所や年金事務所に連絡してみることから始めてみましょう。
手続きは一つずつ、ご自身のペースで進めて大丈夫です。困ったときは、遠慮なく専門の相談窓口に助けを求めてください。必ず道が開けますので、ご安心ください。