【困ったとき】相続や生前贈与の相談はどこへ?身近な公的機関を知っておきましょう
相続や生前贈与、一人で悩まずに相談してみましょう
大切なご家族を亡くされて、相続の手続きが必要になった。あるいは、将来のために生前贈与を考えてみたいけれど、何から始めれば良いか分からない。
そのようなとき、「誰に相談すればいいのだろうか」「どこに行けば教えてもらえるのだろうか」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。手続きは複雑に感じられることもありますが、決して一人で抱え込む必要はありません。
相続や生前贈与について困ったときには、頼りになる相談先がいくつかあります。特に、身近な場所にある公的な窓口でも、最初の一歩として情報提供を受けたり、適切な相談先を紹介してもらったりすることができます。
このコラムでは、相続や生前贈与で困ったときに、どこに相談できるのか、特に公的な窓口を中心に分かりやすくご説明します。
まずは身近な場所で相談してみる
相続や生前贈与に関する悩みは、まずは比較的行きやすい、身近な相談先から尋ねてみるのが良いかもしれません。
市区町村の役場
お住まいの市区町村役場には、様々な相談窓口が設けられています。相続に関して直接的な法的な手続きを行うわけではありませんが、以下のようなことを聞くことができます。
- 亡くなった方の住民票や戸籍謄本などの取得: 相続手続きには、亡くなった方や相続される方々の戸籍謄本などが必要です。これらの書類は役場で取得できますので、取得方法や必要なものについて尋ねることができます。
- 行政サービスに関する相談: 例えば、亡くなった方が受けていた年金や介護保険など、行政サービスに関する手続きについて、担当窓口で相談できます。
- 一般的な情報提供: 相続に関する一般的な情報提供を行っている部署がある場合もあります。
どの部署に聞けば良いか分からない場合は、まずは総合窓口や福祉関連の窓口で尋ねてみましょう。「相続で困っていて、どこに聞けば良いか分からないのですが」と伝えれば、担当の部署を案内してもらえるはずです。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、主に高齢者の方々を対象に、様々な相談を受け付けている窓口です。保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが連携して、総合的な支援を行っています。
相続そのものの法的な相談はできませんが、以下のような場合に役立つことがあります。
- 複雑な状況の整理: 相続手続きだけでなく、ご自身の生活全般や、他の家族との関係性など、複雑に絡み合った状況を整理するのを手伝ってくれることがあります。
- 適切な専門機関へのつなぎ: 相談内容に応じて、弁護士や税理士、司法書士などの専門家や、法テラスなどの公的な相談窓口を紹介してもらうことができます。
- 福祉的な視点からのアドバイス: 相続がご自身の生活や介護に与える影響などについて、福祉的な視点からアドバイスを得られる可能性があります。
地域包括支援センターは、地域の身近な相談窓口として、様々な困りごとを受け止めてくれます。「相続のことで心配事があって、どこに相談したらいいか分からなくて…」とまずは電話で問い合わせてみるのが良いでしょう。
より専門的な相談をしたいとき
公的な窓口で話を聞いてもらったり、情報を集めたりした上で、やはり法律や税金、登記など、より専門的な知識が必要だと感じたら、以下の相談先を検討してみましょう。
法テラス(日本司法支援センター)
法テラスは、国が設立した「法的トラブル解決の総合案内所」です。相続に関する法的な問題についても相談できます。
- 無料法律相談: 収入などが一定の基準以下である場合は、弁護士や司法書士による無料の法律相談を受けられる制度があります。相続でどのような法的な手続きが必要か、遺産分割で困っているなど、具体的な相談が可能です。
- 情報提供: 相談内容に応じて、適切な弁護士や司法書士を紹介してもらえたり、制度について教えてもらえたりします。
まずは法テラスに電話で問い合わせてみましょう。予約が必要な場合が多いです。
弁護士会、税理士会、司法書士会の無料相談会
各専門家団体(弁護士会、税理士会、司法書士会など)では、定期的に無料相談会を開催していることがあります。
- 弁護士: 相続人間での意見の対立がある場合や、遺言書の有効性など、法律に関するトラブルの相談に適しています。
- 税理士: 相続税や贈与税に関すること、財産の評価方法など、税金に関する相談に適しています。
- 司法書士: 不動産の相続登記や、遺産分割協議書の作成など、法的な書類作成や登記に関する相談に適しています。
これらの相談会は予約制の場合が多く、時間や回数に制限があることが一般的です。お住まいの地域の各専門家会のウェブサイトを確認するか、電話で問い合わせてみましょう。
金融機関の窓口
亡くなった方の預貯金や、ご自身の生前贈与に関する相談であれば、お付き合いのある銀行や信用金庫などの金融機関の窓口でも相談できます。
- 預貯金の相続手続き: 亡くなった方の口座の凍結や、相続手続きに必要な書類、手続きの流れなどについて教えてもらえます。
- 生前贈与に関する情報: 贈与の具体的な方法(振込など)や、利用できる金融商品(贈与税の非課税制度に関わるものなど)について情報提供を受けられる場合があります。ただし、税務に関する専門的な判断はしてもらえない場合がありますので注意が必要です。
まずは、利用している金融機関に電話で問い合わせてみるか、窓口で「相続(または生前贈与)について相談したい」と伝えてみましょう。
相談する前の準備
相談をスムーズに進めるために、もし可能であれば、いくつか準備しておくと良いことがあります。
- 何を相談したいか整理する: 一番困っていること、知りたいことを簡単なメモにしておくと、落ち着いて話せます。
- 関連書類を準備する: もし手元にあれば、亡くなった方の戸籍謄本や、財産に関する書類(預貯金通帳、固定資産税の通知書など)を用意しておくと、より具体的なアドバイスをもらいやすくなります。全て揃っていなくても大丈夫です。
- メモを取る準備: 相談時に聞いたことを忘れないように、メモ帳とペンを用意しておくと役立ちます。
これらの準備が難しい場合でも、心配しないでください。「何も分からなくて困っている」という状況でも、相談窓口の方は丁寧に話を聞いてくれるはずです。
まとめ:安心して一歩ずつ進みましょう
相続や生前贈与の手続きは、見慣れない書類や聞き慣れない言葉が多く、難しく感じて当然のことです。しかし、一人で全てを理解し、進める必要はありません。
この記事でご紹介したように、市区町村の役場や地域包括支援センター、法テラスなど、身近な場所にも相談できる窓口があります。また、必要に応じて弁護士や税理士、司法書士といった専門家や、お付き合いのある金融機関も頼りになります。
まずは、ご自身が話しやすいと感じる窓口に、気軽に連絡をとってみることから始めてみてはいかがでしょうか。一つずつ確認しながら、安心して手続きを進めていくことができます。