【いつ終わるの?】相続手続きにかかる時間の目安と、最初の一歩をやさしく解説
相続が発生して、「これから何をすればいいのだろう」「手続きはいつ終わるのだろう」と、漠然とした不安を感じていらっしゃるかもしれません。
相続手続きは、一度にすべてが終わるものではなく、一つ一つ順番に進めていくものです。そのため、どうしても時間がかかります。
この記事では、相続手続きがどのくらいの期間かかるのか、その目安と、手続きを少しでもスムーズに進めるための「最初の一歩」について、分かりやすくご説明します。
相続手続きにかかる時間の目安
相続手続きにかかる時間は、ご家庭の状況や相続財産の種類によって大きく異なります。一概に「〇ヶ月で終わります」とは言えないのが正直なところです。
一般的な目安としては、半年から1年以上かかることも珍しくありません。
なぜこれほど時間がかかるのでしょうか。それは、相続人の確定から始まり、財産の調査、遺産をどう分けるかの話し合い、そしてそれぞれの財産の名義変更や手続きなど、複数のステップを踏む必要があるからです。
また、簡単なケース(相続人が少なく、財産もシンプルで、遺言書がある場合など)であれば数ヶ月で済むこともありますが、複雑なケース(相続人が多い、財産の種類が多い・調査が難しい、遺産分割の話し合いがまとまらない場合など)では1年以上かかることもあります。
焦る必要はありません。ほとんどの方が経験することのない手続きですから、時間がかかるのは当然のことです。大切なのは、一つずつ確認しながら、落ち着いて進めることです。
手続きが遅れてしまう主な要因
相続手続きが予想以上に時間がかかってしまうのには、いくつか共通する要因があります。これらをあらかじめ知っておくと、見通しを立てやすくなります。
- 相続人の確定に時間がかかる: 亡くなった方の出生から死亡までの戸籍謄本などを集めて、誰が相続人かを正確に調べる必要があります。これが思っている以上に大変な作業になることがあります。
- 相続財産の調査に時間がかかる: 亡くなった方がどのような財産を持っていたか(預金、不動産、株式など)や、借金がないかなどを漏れなく調べるのには手間がかかります。
- 遺産分割の話し合いがまとまらない: 相続人全員で、どの財産を誰が相続するかを話し合って決める必要があります。この話し合い(遺産分割協議)に時間がかかったり、意見がまとまらなかったりすると、手続き全体がストップしてしまいます。
- 必要な書類集めに手間取る: 各種手続きには様々な書類が必要です。役所や金融機関、法務局など、それぞれ異なる場所で書類を集めるのに時間がかかることがあります。
- 手続きの種類が多い: 不動産の名義変更、預金の解約・名義変更、株式の手続きなど、財産の種類が多岐にわたる場合、それぞれの機関で手続きが必要になり、全体として時間がかかります。
手続きをスムーズに進めるためのヒント(最初の一歩)
相続手続きに時間がかかるのは自然なことですが、少しでもスムーズに進めるために、最初の一歩としてできることがあります。
1. まずは「全体像」を知りましょう
相続手続きには、どのようなステップがあるのか、大まかな流れを理解することが大切です。すべてを完璧に理解する必要はありませんが、「次はこれをするのか」という見通しが立つだけでも、安心感が生まれます。このサイトの他の記事なども参考に、全体像をつかんでみてください。
2. 相続人が誰かを確認しましょう
亡くなった方の戸籍謄本などを集めて、法律で定められた相続人が誰かを正確に確認することが、全ての手続きの出発点となります。この作業は少し大変ですが、最初に取り組むべき重要なステップです。
3. どのような財産があるかリストにしてみましょう
預金通帳や権利証、固定資産税の通知書など、手元にある書類を整理してみましょう。すぐに完璧なリストができなくても大丈夫です。「何がありそうか」を把握することから始めてみましょう。
4. 相続人同士で早めに情報共有をしましょう
すべての相続人が集まって話し合う「遺産分割協議」は、手続きの大きな山場です。まだ財産調査が終わっていなくても、「こういう手続きを進めているよ」「こういう財産が見つかったよ」と、相続人同士で情報共有を始めておくと、いざ話し合う際にスムーズに進むことがあります。ただし、話し合いが難しい場合は無理に進める必要はありません。
5. 分からないことは一人で抱え込まない
最も大切なことです。相続手続きは複雑で、一人で全てを調べ、判断して進めるのはとても大変です。「これで合っているのだろうか」と不安になったら、誰かに相談することを考えてみましょう。
困ったときは相談先を活用しましょう
相続手続きは、専門知識が必要になる場面も出てきます。自分一人で全てを行うのが難しい、と感じたら、迷わず相談できる場所があります。
- 市町村役場: 相続に関する基本的な情報提供や、関連部署(税金、福祉など)への案内をしてくれる場合があります。
- 地域包括支援センター: 高齢者の方の様々な相談に乗ってくれる場所です。相続についても、どこに相談すれば良いかなどの情報を提供してくれることがあります。
- 金融機関の窓口: 亡くなった方の預金に関する手続きなど、具体的な手続き方法について教えてくれます。
- 専門家(弁護士、税理士、司法書士など): 相続に関する法的なこと、税金のこと、不動産の名義変更など、それぞれの専門家が手続きのサポートをしてくれます。費用はかかりますが、安心して任せられるのが大きなメリットです。
すぐに専門家にお願いするか決められなくても、まずは「どこに相談できるか」を知っておくだけでも安心につながります。
まとめ
相続手続きには時間がかかります。数ヶ月で終わる場合もあれば、1年以上かかる場合もあります。手続きが遅れる要因はいくつかありますが、一つずつ丁寧に進めていけば大丈夫です。
まずは、相続の手続きには時間がかかるものだと理解し、焦らずに取り組むこと。そして、相続人が誰か、どのような財産があるか、といった基本的な情報を整理することから始めてみましょう。
分からないことや不安なことがあれば、一人で抱え込まず、市役所や専門家など、信頼できる相談先を活用してください。
手続きは、急がなくても大丈夫です。あなたのペースで、最初の一歩から着実に進めていきましょう。